No.1 『ナンパ授業』
「そうそ、それができりゃあ苦労しないわけよ。」
「そんなこと言ってもな。毎度毎度大きな丸貰ってるんじゃあ、やるしかないだろ?」
「言うなよっ!ゼロ点なんて!」
「人がせっかく遠まわしに言ってやってるのにな。」
「うるっさいなぁ!いいさ、今度こそやってるよ!狙いはあの女の子!!」
「…そこまで本気になるからナンパ授業がゼロ点だっつーに。」
No.2 『探偵と怪盗』
「追い詰めたぞ! 怪人アヤシぃ!」
「ん、ん、んー?君はこれで僕を追い詰めたつもりなのかい?」
「なんだと?」
「いやいやいや、君は確かに賢いよ。その知恵を生かし膨大な罠も張れてさ。僕はそれにまんまと引っかかっちゃったわけだけど。」
「あいかわらず人を舐めきった口調で……。今日という今日こそ逃がすつもりはないぞ!」
「うん?いやー、別にふざけて話してるわけじゃないんだよ?元からこういう性格なのさ。そうだねぇ、今回の手の込み具合は最高だよ!褒めてあげてもいいくらいだ。」
「褒めるだと!?何様のつもりだ!だいたい、その余裕は何なんだ? 俺をおちょくっているのか、はたまた……追い詰められてふっきれたとでも?」
「あははは、この余裕はねぇ。別におちょくってるわけでも、ふっきれちゃったわけでもないよ。」
「じゃあ、いったい……。」
「それは……簡単。追い詰められてなんかないからだよ!」
「なっ!?貴様っ!げほっ、何だこの煙!?」
「あははははははは! 今回は大分楽しませてもらったよ。次回はもっと難攻不落な罠を仕掛けてくれたまえ。」
「くそっ!また逃げられた……。」
No.2 『こんにちわ、お嬢さん』
「こんにちわ、お嬢さん。こんなところで何をやっていらっしゃるんですか?」
「……探しもの。」
「探しもの?何か落とされた?イヤリング?腕輪?それとも……。」
「猫。」
「猫?」
「うん。あの壁に貼ってあるポスターに描いてある猫を探してるの。見かけなかった?」
「……いや……。」
「そっか。それなら、私に話しかける必要性はないと思うんだけどな。」
「いえいえ、困ってるお嬢さんを放って置けませんから。」
「ふふ、なにそれ。お嬢さんじゃなかったら、放っておくの?」
「そりゃあ、野郎には興味ありませんから?よろしかったら、一緒に探しましょうか?」
「ふふ、面白い人ね。でも、探すのは手伝ってくれなくても大丈夫よ。あの子、ここに居れば帰ってくるから。だから、そのかわりに私の話し相手をしてよ。ちょうど退屈してたところなの。」
「仰せのままに。」
No.3 『返せよ!!』
「待て!」
「……何の様だ?お前にはもう俺は用はない。」
「お前に用がなくても、俺にはあるんだよっ!その、ネックレスを返せ!」
「返せ?お前のでもなんでもないだろう?これは、俺が貰っていく。」
「駄目だ!それはねーちゃんの、ねーちゃんの形見なんだっ!絶対お前にやらない。返せ!今すぐ返せよっ!」
「残念だが、これはあいつが俺に託したものだ。お前にやれるようなものじゃない。それ以上用がないなら俺は行く。」
「ま、待て!返せ、返せよぉおお!」